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VPNの歴史!技術発展から現代の課題まで徹底解説

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VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上で仮想的な専用回線を構築し、安全な通信を実現する技術として、現代のビジネスに欠かせない存在となっています。VPN(Virtual Private Network)は、通信事業者のネットワークやインターネットなどの公衆ネットワーク上で作られる、仮想的な専用ネットワークの総称です。

本記事では、1960年代の専用線時代から2025年の最新動向まで、VPN技術の進化と歴史を時系列で詳しく解説し、現代の課題と今後の展望についても触れていきます。

Contents
  1. はじめに:VPNの歴史を学ぶ意義と本記事で分かること
  2. VPNの起源:専用線時代(1960年代〜1980年代)
  3. インターネット時代の幕開けとVPNの必要性(1990年代)
  4. VPN技術の本格展開(2000年代前半)
  5. VPN技術の多様化と成熟(2000年代後半〜2010年代)
  6. PPTPの衰退とセキュリティ課題の顕在化(2010年代)
  7. クラウド時代とVPNの新展開(2020年代前半)
  8. 現代の課題:VPNからZTNAへ(2020年代後半〜2025年)
  9. VPN技術年表:主要な発展を時系列で整理
  10. VPNプロトコル比較:特徴と適用場面
  11. 現代のVPN選択指針:企業が考慮すべきポイント
  12. 2025年現在の最新動向とZTNAへの移行
  13. よくある質問:VPNの歴史と技術に関する疑問を解決
  14. まとめ:VPN技術の歴史から見えてくる未来

はじめに:VPNの歴史を学ぶ意義と本記事で分かること

なぜ今VPNの歴史を学ぶことが重要なのか?

VPN技術を理解するためには、その起源となった専用線技術から学ぶ必要があります。VPNの歴史を遡るには専用線発展の歴史から理解する必要があります。現代のテレワークやクラウド環境で広く使われているVPNも、実は60年以上の歴史を持つ通信技術の発展の延長線上にあるのです。

2000年代、このセキュリティ問題解決のために考案された技術こそが「VPN(Virtual Private Network)」です。現在では、リモートワークの普及とセキュリティ要件の高度化により、VPN技術の重要性はますます高まっています。

本記事を読むとどんなメリットがありますか?

  • VPN技術の全体像と発展の流れが理解できる
  • 各VPNプロトコルの特徴と適用場面が分かる
  • 現代のセキュリティ課題とZTNAなど次世代技術の必要性が理解できる
  • 自社のVPN選択や導入に役立つ知識が身につく
  • 技術者として必要なVPNの基礎知識を体系的に習得できる

VPNの起源:専用線時代(1960年代〜1980年代)

専用線技術の誕生と普及

VPN技術の歴史は、1960年代の専用線技術から始まります。物理的に離れた拠点をクローズド環境で接続する専用線の歴史は、1960年代から始まります。当初はアナログ専用線として始まった技術でしたが、1980年代にデジタル化されると、多くの企業が専用線サービスを利用するようになりました。

1960年代中頃になると、大企業がコンピュータを導入するようになり、本社と支店や工場間のデータ通信に専用線が活用されるようになりました。この時代の企業は、重要なデータを安全に送受信するために、物理的に専用の回線を敷設していたのです。

高速デジタル専用線の登場

1984年には「高速デジタル専用線」サービスが開始されました。「高速」とは言っても、主流は64Kbpsであり、開始当時の最大速度は6Mbpsでした。現在の基準では決して高速とは言えませんが、当時としては画期的な技術でした。

その後、高速化が進み1993年には150Mbpsの回線もサポートされるようになりました。しかし、専用線は高額なコストが課題となっており、専用線の価格、特に遠距離の価格は通信網を構築するのに高額を要していました。

インターネット時代の幕開けとVPNの必要性(1990年代)

インターネット普及による課題の顕在化

1990年代に入ると、インターネットが急速に普及し始めました。企業にとって、専用線のコストは大きな負担となっており、より安価な通信手段が求められていました。しかし、インターネットは公衆網であるため、セキュリティ面での課題がありました。

1995年から料金改定が行われるようになりました。1996年には専用線と公衆回線を相互に接続する運用が可能になりました。これらの改革により、通信コストの削減が進みましたが、根本的な解決には至りませんでした。

VPNプロトコルの初期開発

この時期に、初期のVPNプロトコルが開発され始めました。PPTPとは「Point-to-Point Tunneling Protocol」の略で、VPNが確立された初期から使用されているプロトコルです。90年代にマイクロソフトによってPPP(Point-to-Point Protocol)をベースに改良して開発され、Windows95から搭載されています。

PPTPは1990年代にMicrosoftが開発したVPNプロトコルで、Windows OSに標準搭載されたことから広く普及しました。このプロトコルの登場により、インターネットを利用した仮想的な専用回線の概念が現実のものとなりました。

VPN技術の本格展開(2000年代前半)

IPsecプロトコルの標準化

2000年代に入ると、より高度なセキュリティを提供するIPsecプロトコルが標準化されました。IPsec-VPNとは、「Internet Protocol Security – Virtual Private Network」を略したことばで、「OSI基本参照モデル」のネットワーク層(レイヤー3)、IPsecを利用して暗号化された通信を行えるVPNです。

IPsecは、PPTPと比較してより強固なセキュリティを提供しました。PPTPは128bitの暗号鍵を使用するのに対し、IPsecは256bitの暗号鍵を使用し、暗号化方式も複数から選択可能です。

SSL-VPNの登場

同時期に、SSL技術を活用したSSL-VPNも注目を集めるようになりました。SSL-VPNとは、「Secure Socket Layer Virtual Private Network」の頭文字をとったことばで、通信の暗号化にSSL/TLSを利用したVPN技術のことです。

SSL-VPNの最大の特徴は、専用ソフトウェアのインストールが不要な点でした。IPsecとの違いは、クライアントPCに専用のソフトウェアをインストールする必要があるIPsecに対し、SSL-VPNはWebブラウザがあれば通信可能であるという点です。

VPN技術の多様化と成熟(2000年代後半〜2010年代)

企業VPNの普及拡大

VPNとは、Virtual Private Networkの略で、仮想プライベートネットワークのことです。専用線と同じ機能を仮想的な専用回線として提供する技術で、2000年代前半に登場しました。2000年代後半から2010年代にかけて、VPN技術は企業のリモートアクセスソリューションとして急速に普及しました。

L2TP/IPsecの普及

L2TPとは「Layer 2 Tunneling Protocol」の略で、PPTPのアップグレード版として1999年にリリースされました。L2TP自体には強力な暗号化や認証が付属していないので、IPsecと一緒に使われています。

L2TP/IPsecは、PPTPの利便性とIPsecの安全性を両立させたプロトコルとして注目されました。L2TPで複数のセッションを可能にしながら、IPsecで暗号、カプセル化するため、IPsecと同等レベルの安全性を確保できます。

OpenVPNの登場と普及

2000年代半ばには、オープンソースのVPNソリューションとしてOpenVPNが登場しました。OpenVPNは、サーバ間に暗号化されたトンネルを作成するためのオープンソースのVirtual Private Network(VPN)ソフトウェアである。James Yonanが開発し、GNU General Public Licenseでリリースされている。

OpenVPNは、その柔軟性と高いセキュリティにより、多くの企業や個人ユーザーに採用されました。OpenVPNの特長の一つはその移植性の高さにあり、さまざまなプラットフォームでOpenVPNが利用できます。Windows、Linux、MacといったPC環境に加え、AndroidやiOSでも利用できます。

PPTPの衰退とセキュリティ課題の顕在化(2010年代)

PPTPの脆弱性発覚

2012年にMS-CHAP v2 認証システムの脆弱性が発見・公表され、PPTPの評判は失墜しました。これにより、多くの企業がより安全なVPNプロトコルへの移行を余儀なくされました。

NSA(アメリカ国家安全保障局)がかなりの昔に解読に成功しており、現在は無料ツールを使ってPPTP(MS-CHAP-v1/v2)を解読する事が可能です。このような重大な脆弱性の発覚により、PPTPの使用は推奨されなくなりました。

新しいプロトコルへの移行

このため、PPTP VPNプロトコルの人気は下降し、L2TP/IPsec、OpenVPN、SSTP(同じくMicrosoft製)、Cisco SSL VPNに取って代わられました。

さらに、AppleはiOS 10(2016年)で利用可能なVPNプロトコルからPPTPを除外し、ExpressVPNやNordVPNのようなパブリックVPNプロバイダーは、それぞれ2023年と2018年にこのプロトコルの使用を停止しました。

クラウド時代とVPNの新展開(2020年代前半)

リモートワークの急速な普及

2020年のパンデミックを契機として、リモートワークが急速に普及しました。これにより、VPNの需要が爆発的に増加し、多くの企業がVPNゲートウェイの性能限界に直面しました。

昨今、テレワークの需要が急増するにつれ、多くの企業がVPNゲートウェイ(社内にVPN接続するための機器)の性能限界に悩まされています。

WireGuardの台頭

この時期に注目を集めたのが、新しいVPNプロトコルであるWireGuardです。WireGuardは新しいオープンソースのVPNプロトコルでデータの暗号化の処理を簡易化することを目標としています。現在利用可能な最高のプロトコルであるOpenVPNやIKEv2より高速で容量が少ないことを約束しています。

WireGuardの最大の特徴は、そのシンプルさと高性能です。WireGuardはOpenVPNよりはるかに容量が少ないという特徴があります。コードはわずか4000行しかありません。このようにコードがコンパクトなので定期的にしっかり点検、改善でき、他のプロトコルよりも脆弱性が少ないのです。

現代の課題:VPNからZTNAへ(2020年代後半〜2025年)

VPNの限界とセキュリティ課題

従来のVPNには、現代のセキュリティ要件に対していくつかの限界があることが明らかになってきました。また、VPNゲートウェイの脆弱性を悪用したサイバー攻撃も絶えず、VPNゲートウェイ経由で攻撃者に侵入されてしまい、大きなセキュリティインシデントに発展してしまった事例が多々見受けられます。

ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)の登場

これらの課題を解決する新しいアプローチとして、ZTNAが注目されています。これらの課題を解決するソリューションとして、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA) が注目されています。

2019年4月、IT分野の調査会社であるGartner, Inc.によって提唱され、VPNの代わりになるとして注目を集めるようになりました。

ZTNAとVPNの根本的な違い

もっとも顕著な違いとしてセキュリティポリシーの違いがあります。VPNはネットワーク単位でのアクセス許可であり、一度許可すると基本的に広範囲にアクセス可能な「信頼するセキュリティ」です。一方で、ZTNAはアプリ単位のアクセス制御で、内部にアクセス後も継続的に認証する「何も信頼しないセキュリティ」となっています。

VPN技術年表:主要な発展を時系列で整理

年代主要な出来事・技術詳細
1960年代アナログ専用線の登場企業の拠点間通信の基礎技術として導入
1980年代デジタル専用線の普及多くの企業がデジタル専用線サービスを利用開始
1984年高速デジタル専用線サービス開始主流は64Kbps、最大速度6Mbps
1990年代PPTP開発Microsoft主導でPPP(Point-to-Point Protocol)をベースに開発
1995年Windows 95にPPTP搭載VPN技術の一般普及が始まる
1999年L2TP規格化PPTPのアップグレード版として登場
2000年代前半IPsec標準化、SSL-VPN登場より高度なセキュリティを提供するプロトコルが確立
2001年OpenVPN開発開始James Yonanによりオープンソースで開発開始
2000年代後半企業VPNの本格普及リモートアクセスソリューションとして急速に普及
2012年PPTP脆弱性公表MS-CHAP v2の脆弱性発覚でPPTPの信頼性失墜
2016年Apple、PPTP サポート終了iOS 10でPPTPサポートを廃止
2019年ZTNA概念の提唱Gartner社がVPNに代わる技術として提唱
2020年WireGuard正式リリース高速でシンプルなVPNプロトコルとして注目
2020年〜リモートワーク急拡大パンデミックを契機にVPN需要が爆発的増加
2024年〜ZTNA普及加速従来VPNの限界を受けてZTNAへの移行が本格化

VPNプロトコル比較:特徴と適用場面

各プロトコルの技術的特徴

プロトコル暗号化強度通信速度設定の容易さセキュリティレベル推奨用途
PPTP128bit高速簡単低(非推奨)使用非推奨
L2TP/IPsec256bit中程度複雑企業間通信
OpenVPN256bit中程度中程度汎用的利用
IKEv2256bit高速複雑モバイル環境
WireGuardChaCha20最高速比較的簡単次世代標準

セキュリティ面での評価

SSL-VPNに比べてIPsec-VPNは、セキュリティレベルが高いため、より高度なセキュリティレベルを確保したい場合には適していると言えるでしょう。

L2TPは、セキュリティ面でやや劣る部分があるため、IPsecを併用して活用するケースが多くあります。

一方、PPTPはセキュリティ面では非常に低いため、ビジネスで活用するのはおすすめできません。

現代のVPN選択指針:企業が考慮すべきポイント

インターネットVPN vs IP-VPN

インターネット回線を用いるタイプのVPNを「インターネットVPN」といいます。オープンな回線だからこそ、安価にVPNサービスを利用できるメリットがあります。

インターネット回線ではなく、通信事業者が提供する閉域網でVPNを用いたネットワークを構築することも可能です。

用途別推奨プロトコル

インターネットVPNを構築する場合は、IPsecを採用するのがおすすめです。特に、IPsecは、複数拠点間でVPNを使用する際に安全な接続が可能で設定も容易なため、社内にノウハウがなくても扱いやすいといった特徴があります。

2025年現在の最新動向とZTNAへの移行

市場予測とトレンド

2022年10月に発表されたガートナー社のプレスリリースによると、ZTNAはネットワークセキュリティの領域で最も急速に成長していると報告されました。2025年には、新規リモートアクセスの導入にVPNではなく、ZTNAサービスが選ばれるとガートナー社は予測しており。

クラウドVPNの可能性

では、ZTNA時代に求められるVPNとは、どういったものでしょうか?――――その一つが、クラウドVPNです。

クラウドVPNは、これまでに上げたレガシーVPNが持つ多くの課題を解決できます。

よくある質問:VPNの歴史と技術に関する疑問を解決

Q: VPN技術の発展で最も重要な転換点は何ですか?

A: VPN技術の発展における最重要な転換点は、2000年代前半のIPsecプロトコル標準化です。これにより、インターネット上でも専用線並みのセキュリティを実現できるようになり、VPNの本格的な企業導入が始まりました。

Q: 現在でもPPTPを使用している企業があるのはなぜですか?

A: レガシールータのような古いハードウェアでも高い暗号化/復号化速度を実現できますという理由で、一部の古いシステムでは使用されている場合があります。しかし、セキュリティ上の重大な脆弱性があるため、可能な限り早急な移行が推奨されます。

Q: WireGuardが注目される理由は何ですか?

A: WireGuardが注目される理由は、従来のVPNプロトコルと比較して圧倒的にシンプルで高速だからです。WireGuardは試験中に良い結果を収めていてOpenVPNよりも応答時間(ネットワーク全体の速度の指標)が短く、接続も安定していることが確認されています。

Q: ZTNAは本当にVPNを完全に置き換えるのですか?

A: ZTNAは従来のリモートアクセスVPNを置き換える可能性が高いですが、すべてのVPNが不要になるわけではありません。VPNには、様々な種類が存在し、企業のバックボーンで利用されるIP-VPNなどもあるためVPNを一括りにして時代遅れと論じることは、誤解を招くこともあるとされています。

まとめ:VPN技術の歴史から見えてくる未来

VPN技術は、1960年代の専用線時代から始まり、2025年現在では次世代のZTNAへと発展しています。この65年間の技術進歩を振り返ると、以下の重要なポイントが見えてきます。

技術発展の主要な流れ

  • 物理専用線(1960年代〜)からデジタル専用線(1980年代〜)への進化
  • インターネット普及に伴うVPN技術の誕生(1990年代)
  • IPsec、SSL-VPNによる本格普及(2000年代)
  • セキュリティ強化とプロトコル多様化(2010年代)
  • WireGuard登場とZTNAへの移行(2020年代〜)

現在の課題と解決方向 従来のVPNは、パフォーマンスの限界とセキュリティ課題に直面しています。これらの課題を解決するために、WireGuardのような高性能プロトコルとZTNAのような新しいアプローチが注目されています。

企業の選択指針 現在VPNを検討している企業は、用途に応じて以下の選択を検討することをお勧めします:

  • 拠点間接続:IPsec-VPNまたはWireGuard
  • リモートアクセス:ZTNAまたはSSL-VPN
  • レガシーシステム対応:段階的なZTNAへの移行計画

VPN技術の歴史を理解することで、現在の技術選択がより明確になり、将来の技術動向も予測しやすくなります。セキュリティとパフォーマンスの両面で最適なソリューションを選択し、継続的な技術の進歩に対応していくことが重要です。

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ガジェットアナリスト / テックライター/コンテンツライター
オーディオ機器、モバイルガジェット、ウェアラブルデバイスを専門とするテックライター。大手家電メーカーでの製品開発経験を持ち、技術的な知識と実用者の視点を併せ持つ。年間100以上の新製品を実際に使用・検証し、専門知識のない読者でも理解できる分かりやすい解説を心がける。

「テクノロジーは複雑だが、選び方は簡単であるべき」をモットーに、本当に価値のある製品を厳選して紹介。特にオーディオ機器については音響工学の専門知識を活かした詳細なレビューに定評がある。



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