Qi2とは、Wireless Power Consortium(WPC)が2023年に発表したワイヤレス充電の最新規格で、マグネット固定による位置調整と最大15W(2025年からは25W)の高速充電を実現。iPhone 15シリーズから本格対応が始まり、2025年にはGalaxy S25やPixel 10での採用が予定されている革新的な充電技術です。本記事では対応デバイスから充電器まで、Qi2の全てを解説します。
はじめに:Qi2充電規格が変える未来のワイヤレス充電
Wireless Power Consortium(WPC)は2025年7月、従来の15Wから25Wへと大幅にパワーアップした「Qi2 25W」を発表しました。この新規格により、ワイヤレス充電は有線充電に匹敵する速度を実現し、位置ずれによる充電効率低下の問題も解決されています。
従来のQi認証規格にはマグネットでの固定がありませんでしたが、Qi2規格でマグネットでの位置固定ができるようになり、効率の良い安定した充電が可能となりました。
本記事で分かること
- Qi2規格の技術的特徴と従来規格との違い
- 2025年時点での対応デバイス一覧
- おすすめのQi2対応充電器とアクセサリー
- Qi2製品の選び方と購入時の注意点
- 今後の展開とロードマップ
Qi2充電規格とは?従来のQiとの違いを解説
Qi2の基本仕様と特徴
Qi2は、認証機関のWireless Power Consortium(WPC)が2023年に発表した最新規格で、製品の安全基準や互換性担保の基準となっています。最大の特徴は以下の3点です:
1. マグネット式位置調整(MPP: Magnetic Power Profile) アップルのMagSafe技術が基盤となっており、MPPに準拠するQi2対応デバイスにはマグネットリングが組み込まれ、充電器との位置ずれを防いで高速充電を可能にします。
2. 統一された充電出力 Qi2対応スマホとQi2対応充電器の組み合わせなら、15Wの最速充電をもれなく実現できます。従来のQiでは機種によって5〜15Wと幅がありましたが、Qi2では一律15Wに統一されています。
3. Apple製品との互換性 iPhone 15はすでにQi2対応で、13や14シリーズもiOSのアップデートだけでQi2対応になっています。
Qi2 25Wの登場で変わる充電環境
2025年7月23日、WPCは「Qi2 25W」を発表し、現時点で14製品が認証済みとなっています。iPhone 16シリーズは「iOS 26」から対応し、iPhone 16 Proを約29分で0〜50%まで充電可能な性能を実現しています。
| 規格 | 最大出力 | 位置調整 | 対応開始時期 |
|---|---|---|---|
| Qi | 5〜15W | 手動 | 2010年 |
| Qi2 | 15W | マグネット自動 | 2023年 |
| Qi2 25W | 25W | マグネット自動 | 2025年7月 |
対応デバイス一覧|スマートフォンからアクセサリーまで
iPhone対応状況
Qi2標準対応(15W)
- iPhone 15シリーズ全モデル
- iPhone 16シリーズ全モデル(16e除く)
- iPhone 17シリーズ(予定)
iOS更新によるQi2対応
- iPhone 12シリーズ(iOS更新済み)
- iPhone 13シリーズ(iOS更新済み)
- iPhone 14シリーズ(iOS更新済み)
Qi2 25W対応 iPhone 16シリーズ(16e除く)がQi2 25Wに対応しており、iPhone 16 Proなら25W無線充電が可能です。ただし、現在25W無線充電に対応しているのはiPhone 16シリーズのみで、Appleの純正充電器でしか25W充電は使えない点にご注意ください。
Android対応状況
現在対応済み
- HMD Skyline(世界初のQi2対応Androidスマホ)
- Galaxy S25シリーズが公式にマグセーフ(磁石)とqi2充電に対応
2025年対応予定
- GoogleのPixel 10シリーズがQi2に対応する予定
- Pixel 10 Pro XL、Galaxy S25で本格合流が期待されています
Qi2 Ready対応 本体側にマグネットを入れなくても、アクセサリー(ケース等)で対応できればQi2対応というルール(Qi2 ready)が制定されており、マグネット対応ケースを使用することでQi2の恩恵を受けられます。
その他対応製品
ウェアラブルデバイス
- Apple Watch(全シリーズで独自の磁気充電対応)
- Galaxy Ring(Samsung初のQi2対応製品)
オーディオデバイス
- AirPods(ワイヤレス充電ケース対応モデル)
- Qi対応ワイヤレスイヤホン各種
おすすめQi2対応充電器|用途別ベストセレクション
デスク用スタンド型充電器
Belkin 3-in-1 Qi2ワイヤレス充電スタンド 世界シェアNo.1のMagSafe充電器「Belkin BoostCharge Pro MagSafe 3-in-1 ワイヤレス充電スタンド」の洗練されたデザインをそのままに、最大15Wの充電ができるQi2の充電モジュールにアップデートされたモデルです。
- 特徴: iPhone(15W)+ Apple Watch(急速充電)+ AirPods(5W)同時充電
- 角度調整: 90°回転でスタンバイモード対応
- 価格帯: 15,000〜20,000円
Anker MagGo Wireless Charging Station(3-in-1 Stand) Anker独自技術の「Wireless PowerIQ」を搭載し、高性能なチップでデバイスに合わせて出力を最適化します。
- 特徴: ステンレス製デザインでiPhoneの角度調整可能
- 同時充電: 3台まで対応
- 価格帯: 12,000〜15,000円
持ち運び用折りたたみ充電器
Belkin 3-in-1 Foldable Magnetic Charger with Qi2 25W Qi2 25W、Apple Watch磁気高速充電、Qi(5W)の3つに対応するワイヤレス充電器で、旅行や出張などで持ち出す機会がある、持ち運びにも対応できる設計です。
- Qi2 25W対応: iPhone 16を29分で0〜50%充電
- 携帯性: コンパクトな折りたたみ設計
- 価格帯: 20,000〜25,000円
Anker MagGo Wireless Charging Station(Foldable 3-in-1) 手のひらサイズまでコンパクトにたためるのが特徴で、重さは200gと軽量で、外出先でワイヤレス充電器を使うときにおすすめです。
パッド型2-in-1充電器
Belkin 2-in-1 Qi2ワイヤレス充電器 Qi2対応スマホとQi対応イヤホンを2台同時充電できるワイヤレス充電パッドで、床置きサイズは手のひら大、厚みは21mmとフラットな設計です。
- 同時充電: Qi2スマホ(15W)+ Qiイヤホン(5W)
- サイドポート: USB-C出力(5W)でApple Watch充電可能
- 価格帯: 8,000〜10,000円
モバイルバッテリー
Anker MagGo Power Bank(10000mAh) Qi2対応であり、iPhone 16シリーズ・Galaxy S25シリーズふくむQi2対応スマホであれば最大15Wの高速ワイヤレス充電に対応しています。
- 容量: 10,000mAh
- ワイヤレス出力: 最大15W
- 有線出力: USB-C最大30W
Anker MagGo Power Bank(6600mAh) より軽量なモデルで、日常使いに最適です。
車載用充電器
Anker 車載Qi2充電器 車内でも最大25W出力でQi2 25W対応スマホを充電可能で、冷却ファンを搭載し、スマホ本体の温度上昇を防ぎ、安心して使用可能です。
エレコム製Qi2対応製品
国内メーカーのエレコムも積極的にQi2対応製品を展開しています:
主要製品ラインナップ
- マグネットQi2規格対応ワイヤレス充電器(メッシュ・15W・卓上)
- マグネットQi2規格対応ワイヤレス充電スタンド(15W・折り畳み)
- マグネットQi2規格対応ワイヤレス充電器(15W・卓上)
価格帯は5,000〜8,000円程度で、海外製品より手頃な価格設定となっています。
Qi2製品の選び方|失敗しない購入ガイド
用途別選び方のポイント
デスク常設用
- 角度調整機能の有無
- 複数デバイス同時充電の必要性
- デザインと設置スペース
持ち運び用
- 折りたたみ機能
- 重量(200g以下が理想)
- 電源アダプター別売りの確認
車載用
- 冷却機能の有無
- 取り付け方式(マグネット/クリップ)
- シガーソケット対応
購入時のチェックポイント
1. Qi2認証の確認 各製品はQi2ロゴの有無を必ず確認しましょう。偽物や非認証品では安全性や性能に問題がある可能性があります。
2. 電源要件の確認 15W運用ならPD 30W以上、25W運用ならPD 45W以上を推奨です。定格ギリギリで使うと電圧ドロップで発熱が増えるため余裕を持たせることが重要です。
3. 対応デバイスの確認 iPhone 12以前はQi2充電器で速くならず、ハード側に磁気アラインメント用のリングがないため最大7.5WのQi1動作に留まります。ただし、磁石付きケースを併用すれば位置ズレによる速度低下を軽減できます。
価格帯別おすすめ
| 価格帯 | 製品タイプ | 主要ブランド | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 5,000円未満 | 単体パッド | エレコム、国内メーカー | 基本機能のみ |
| 5,000〜10,000円 | 2-in-1パッド | Belkin、Anker | スマホ+イヤホン充電 |
| 10,000〜15,000円 | 3-in-1スタンド | Anker、主要メーカー | 全デバイス対応 |
| 15,000円以上 | プレミアムモデル | Belkin、高級ブランド | デザイン性重視 |
よくある質問|Qi2充電規格の疑問を解決
Q: 従来のQi充電器でQi2対応デバイスは充電できますか?
A: はい、Qi2対応ワイヤレス充電器でQi対応スマホも当然充電できます。Qi2は後方互換性があるため、従来のQi充電器でもQi2対応デバイスを充電可能ですが、マグネット固定や高速充電の恩恵は受けられません。
Q: Android端末でもマグネット機能は使えますか?
A: Galaxy S25は磁石は入っておらず、充電速度だけ15Wに対応しているようですが、マグセーフ磁石入りのケースを各Androidスマホで発売されていて、これさえ装着すれば簡単にマグセーフに対応できる仕組みとなっています。
Q: Qi2 25Wはいつから普及しますか?
A: Qi2 25W充電器は2025年末〜2026年初に据置パッドが本格流通予定です。現在は限定的な製品のみの対応となっており、2025年は15W充電環境を整え、2026年の25W本格普及に備えるのが賢い戦略と考えられます。
Q: 発熱は大丈夫ですか?
A: ワイヤレス充電器では避けられない発熱がうまく抑えられており、室内使用の範囲では、発熱が原因で充電が止まる心配はないよう設計されています。ただし、25W充電時は従来より発熱量が増えるため、冷却機能付きの製品を選ぶことをおすすめします。
Q: 価格はどの程度下がる見込みですか?
A: 2025年現在、Qi2対応製品は従来のQi製品より2,000〜5,000円程度高価ですが、普及に伴い価格低下が予想されます。特に国内メーカー製品は比較的手頃な価格設定となっています。
今後の展開とロードマップ
2025年の市場動向
WPCではSamsungとGoogleというAndroidの主要メーカーが2025年に採用する予定で、Qi2対応製品は飛躍的に拡大すると発表されています。
主要な展開予定
- Galaxy S25シリーズが「Qi2 Ready」として年初に発売
- Pixel 10シリーズでの本格対応
- 充電器メーカーの製品ラインナップ拡充
技術の進化方向
Qi2 25Wの詳細仕様 Qi v2.2.1ではコイル径の最適化と制御プロトコル統合により、23–25W・効率85%前後を達成しており、今後さらなる効率向上が期待されます。
将来のロードマップ 2025年は15W充電環境を整え、2026年の25W本格普及に備える時期とされ、Qi2 15Wで既に”有線20Wクラス”の体感で、25W世代が普及すれば10〜15分の充電で1日分をまかなえる世界が到来する見込みです。
CES 2025での展示
WPCはアメリカ・ラスベガスで2025年1月8日から11日まで開催される「CES 2025」にて出展し、ブースではQi2対応製品やキッチン向けワイヤレス電源「Ki Cordless Kitchen」のデモを行う予定となっており、新たな応用分野の拡大も期待されます。
まとめ:Qi2で変わるワイヤレス充電の未来
Qi2充電規格は、マグネット式位置調整と高速充電により、ワイヤレス充電の利便性を大幅に向上させる革新的な技術です。2025年現在、iPhone 15/16シリーズとGalaxy S25での対応が進み、今後Android端末での普及拡大が予想されます。
購入タイミングの推奨
- 現在: Qi2 15W対応製品の購入が最適
- 2025年後半: Android対応製品の本格普及
- 2026年: Qi2 25W製品の主流化
充電器選びでは、用途に応じた製品選択と、将来の25W対応を見据えた電源アダプター選びが重要です。信頼性の高いメーカー製品を選び、Qi2認証マークの確認を忘れずに行いましょう。
ワイヤレス充電がついに有線充電と同等の利便性を実現するQi2時代が到来しています。適切な製品選択により、快適で効率的な充電環境を構築してください。







