企業がVPNを導入する際の価格は、VPNの種類によって大きく異なり、インターネットVPNでは2万～5万円程度の初期費用で済む一方、IP-VPNでは初期費用約5万円に加えて月額5千～5万円のランニングコストが発生します。本記事では2025年最新の企業VPN価格相場と、自社に最適なVPNサービスの選び方を詳しく解説します。
はじめに：2025年版企業VPN価格の全体像
なぜ今企業VPN価格の把握が重要なのか？
リモートワークの普及により、企業のVPN利用環境は大きく変化し、従来型のリモートアクセスには「隠れたコスト」が存在することが明らかになっています。企業がVPNを検討する際、表面的な月額料金だけでなく、初期費用、保守費用、運用コストまで含めた総コストを正確に把握することが重要です。
本記事で分かること
- 4つのVPNタイプ別の詳細な価格相場
- 企業規模別のコスト比較表
- 隠れコストを含む真の導入費用
- 価格対効果の高いVPN選択方法
- 2025年のVPN価格トレンド
企業VPNの価格体系｜4つのタイプ別費用相場
インターネットVPN：最もコストパフォーマンスに優れた選択
Q: インターネットVPNの価格はどの程度ですか？
インターネットVPNの導入費用は約2万～5万円が相場で、VPN機器と初期設定のみで導入できるため比較的安価です。既存のインターネット回線を活用するため、月額のランニングコストは比較的抑えられます。
初期費用内訳
- VPNルーター購入費：1万～3万円
- 初期設定費用：5千～1万円
- セキュリティソフトウェア：3千～1万円
月額費用内訳
- インターネット回線費：5千～2万円（既存回線利用可）
- VPN管理ソフトウェア：2千～5千円
- 保守費用：3千～8千円
エントリーVPN：セキュリティと価格のバランス型
Q: エントリーVPNは価格的にどのような位置づけですか？
エントリーVPNの月額料金は約1万～2万円が相場で、加えて5千円ほどの初期費用がかかる場合があります。閉域網を利用したセキュリティ向上と、コストの抑制を両立できる選択肢です。
価格構造
- 初期費用：5千～1万円
- 月額基本料金：1万～2万円
- 光ブロードバンド回線費：5千～1万円
IP-VPN：高セキュリティ重視の企業向け
Q: IP-VPNの導入にはどの程度の予算が必要ですか？
IP-VPNの初期費用は約5万円前後で、月額費用は約5千～5万円が相場ですが、拠点数や利用容量によって料金は大きく変わります。
詳細な料金例（実際のサービス価格）
| プロバイダー | 初期費用 | 月額料金（基本） | 特徴 |
|---|---|---|---|
| KDDI IP-VPN | 4,400円～ | 2,750円～ | 全国対応、フレッツ回線利用 |
| NTT フレッツVPNワイド | 2,200円 | 1,980円～ | 拠点数に応じたプラン制 |
| 日本通信ネットワーク | 83,000円 | 9,800円～ | 光アクセス回線込み |
| NECネッツエスアイ | 45,000円～ | 13,000円～ | UTM機能装備 |
広域イーサネット：大企業向け高機能VPN
Q: 広域イーサネットの価格帯はどの程度ですか？
広域イーサネットは初期費用に約10万円、月額料金に約100万～200万円かかるのが一般的で、拠点数や拠点間の距離、保証される帯域速度によって料金に幅があります。
企業規模別VPN価格比較表
小規模企業（従業員数10～50名）
| VPNタイプ | 初期費用 | 月額費用 | 年間総費用 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|---|
| インターネットVPN | 2万～5万円 | 1万～2万円 | 14万～29万円 | リモートワーク、基本セキュリティ |
| エントリーVPN | 5千～1万円 | 1万～2万円 | 12.5万～25万円 | セキュリティ強化が必要な業務 |
中規模企業（従業員数50～200名）
| VPNタイプ | 初期費用 | 月額費用 | 年間総費用 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|---|
| エントリーVPN | 1万～2万円 | 2万～4万円 | 25万～50万円 | 複数拠点間の通信 |
| IP-VPN | 5万～10万円 | 3万～8万円 | 41万～106万円 | 高セキュリティが必要な業務 |
大規模企業（従業員数200名以上）
| VPNタイプ | 初期費用 | 月額費用 | 年間総費用 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|---|
| IP-VPN | 10万～30万円 | 10万～50万円 | 130万～630万円 | 大規模拠点間通信 |
| 広域イーサネット | 50万～100万円 | 100万～300万円 | 1,250万～3,700万円 | 最高レベルのカスタマイズ |
UTM（統合脅威管理）と組み合わせた場合の価格
小規模オフィス向けUTM価格
小規模オフィスの場合、UTMの費用相場は端末代が15～20万円で月額利用料が5,000円～10,000円です。
主要UTM製品の価格比較
| 製品名 | 接続台数目安 | 初期費用 | 年間保守費用 |
|---|---|---|---|
| FortiGate-40F | 40台まで | 約10万円 | 約2.8万円 |
| WatchGuard T20 | 5台規模 | 18万円 | 要問合せ |
| Sophos SG105 | 小規模向け | 9.2万円 | 要問合せ |
中規模・大規模オフィス向けUTM価格
中規模オフィスの場合、UTMの費用相場は端末代が30～50万円で月額利用料が10,000円～15,000円、大規模オフィスの場合は端末代が50～120万円で月額利用料が10,000円～40,000円です。
VPN価格の隠れコストと真の導入費用
見落としがちな追加費用項目
技術サポート費用
- 24時間365日サポート：年間10万～50万円
- エンジニア派遣費：1回あたり5万～20万円
- 定期メンテナンス：年間20万～100万円
運用管理費用
- 専任管理者人件費：年間400万～800万円
- セキュリティ監視サービス：月額5万～30万円
- ログ管理・分析ツール：月額3万～15万円
アップグレード・拡張費用
- 回線増強：1拠点あたり10万～50万円
- ユーザー数追加：1ユーザーあたり月額500円～2,000円
- 機能追加オプション：月額1万～10万円
実際の総保有コスト（TCO）計算例
中規模企業（従業員100名、5拠点）の3年間TCO比較
| コスト項目 | インターネットVPN | IP-VPN |
|---|---|---|
| 初期導入費 | 50万円 | 200万円 |
| 月額基本料金（3年） | 360万円 | 1,080万円 |
| 保守・サポート（3年） | 180万円 | 300万円 |
| 運用管理（3年） | 600万円 | 300万円 |
| 総計 | 1,190万円 | 1,880万円 |
2025年VPN価格トレンドと将来予測
クラウドVPNの価格競争激化
主要クラウドVPNサービスの価格動向
- ユーザーあたり月額500円～3,000円の価格帯が主流
- 従量課金制の導入により、小規模企業の導入ハードルが低下
- セキュリティ機能の標準化により、追加オプション費用が削減傾向
ゼロトラストネットワークへの移行コスト
「社内だから安全」は幻想となり、ゼロトラストを欠いたリモート環境が企業の命綱を断ち切る可能性が指摘されています。従来のVPNからゼロトラストアーキテクチャへの移行には、追加で年間100万～1,000万円のコストが見込まれます。
費用対効果を最大化するVPN選択のポイント
セキュリティレベルと価格のバランス
Q: どのようにセキュリティと価格のバランスを取るべきですか？
企業のニーズや規模に応じて適切なVPNを選ぶことが重要で、扱うデータの機密性や自社のセキュリティポリシーに合わせた選び方が大切です。
セキュリティレベル別推奨VPN
- 低リスク業務：インターネットVPN（年間コスト削減効果30～50%）
- 中リスク業務：エントリーVPN（セキュリティ向上とコスト抑制の両立）
- 高リスク業務：IP-VPN（堅牢なセキュリティによるリスク軽減）
- 最重要業務：広域イーサネット（カスタマイズによる最適化）
段階的導入によるコスト最適化
フェーズ1：基本機能の導入
- インターネットVPNでの基本的なリモートアクセス環境構築
- 年間50万～100万円の予算で開始
フェーズ2：セキュリティ強化
- エントリーVPNまたはIP-VPNへのアップグレード
- 追加年間100万～300万円の投資
フェーズ3：高度な機能追加
- ゼロトラストアーキテクチャやSASE（Secure Access Service Edge）の導入
- 追加年間500万～2,000万円の投資
よくある質問｜企業VPN価格の疑問を全て解決
平均的な導入期間と段階的費用は？
Q: VPN導入にかかる期間と段階的な費用発生はどのようになりますか？
- インターネットVPN：導入期間1～2週間、費用は導入時に集中
- エントリーVPN：導入期間2～4週間、初期費用は比較的少額
- IP-VPN：導入期間1～3ヶ月、初期費用とランニングコストが分散
- 広域イーサネット：導入期間3～6ヶ月、大きな初期投資が必要
従業員数による価格スケールの目安は？
Q: 従業員数が増えた場合の価格増加はどの程度ですか？
- 50名以下：基本プランで対応、年間100万円以下
- 50～200名：ユーザー追加で年間200万～500万円
- 200～500名：大規模プランで年間500万～1,500万円
- 500名以上：エンタープライズプランで年間1,500万円以上
無料VPNと有料VPNの実質的価格差は？
Q: 無料VPNを使用した場合の隠れコストはありますか？
無料で提供されるVPNサービスも存在しますが、セキュリティレベルが低く、企業で使用するVPNとしては不向きで、悪質なケースでは管理者がデータを悪用するトラブルもあります。
無料VPNの隠れコスト
- セキュリティインシデント対応費用：平均500万～5,000万円
- 通信速度低下による生産性損失：年間100万～1,000万円
- データ漏洩リスクによるコンプライアンス費用：年間50万～500万円
まとめ：価格対効果で選ぶ最適な企業VPN
法人向けVPNの費用は企業の規模によって異なり、インターネットVPNとIP-VPNでは安全性やコストに差があるため、導入の際は慎重に検討することが重要です。
企業規模別推奨VPN
- 小規模企業：インターネットVPN（年間15万～30万円）
- 中規模企業：エントリーVPNまたはIP-VPN（年間50万～500万円）
- 大規模企業：IP-VPNまたは広域イーサネット（年間500万円以上）
価格検討時の重要ポイント
- 初期費用だけでなく、3年間の総保有コスト（TCO）で評価する
- セキュリティレベルと価格のバランスを業務内容に応じて最適化する
- 段階的導入により、予算に応じた柔軟な拡張を計画する
- 隠れコストを含めた真の導入費用を正確に把握する
適切なVPN選択により、セキュリティ向上と業務効率化を実現しながら、コストを最適化することが可能です。自社の規模、予算、セキュリティ要件に最適なVPNを選択し、安全で効率的な企業ネットワーク環境を構築しましょう。
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