トレーニングの質を高める重要なアイテムであるジム用イヤホン。音楽を聴きながらのワークアウトは、モチベーションを維持し、パフォーマンスを向上させる効果があります。しかし、汗や激しい動きに耐える必要があるため、一般的なイヤホンとは異なる特性が求められます。本記事では、ジム用イヤホンの選び方から最新のおすすめモデルまで、専門的な視点から徹底解説します。
ジム用イヤホンの選び方
1. イヤホンの形状で選ぶ
ジムでのトレーニング中は激しい動きで通常のイヤホンが外れやすくなります。適切な形状選びが重要です。
骨伝導イヤホン
- 特徴: 耳を塞がずに音を伝える新しいスタイル
- メリット:
- 周囲の音が聞こえるため安全性が高い
- 耳内が蒸れない快適な装着感
- 長時間使用しても耳が痛くなりにくい
- イヤーピースによる圧迫感がない
- デメリット:
- 低音の再現性が通常のイヤホンよりも劣る
- 騒音の多い環境では音が聞こえにくくなる
- 音漏れが発生しやすい
完全ワイヤレスイヤホン(TWS)
- 特徴: 左右のイヤホンがケーブルで繋がっていないタイプ
- メリット:
- ケーブルが絡まる煩わしさがない
- コンパクトで持ち運びやすい
- タッチノイズ(服との摩擦音)が発生しない
- 最新モデルは高音質なものが多い
- デメリット:
- トレーニング中に片方が落ちると紛失リスクがある
- バッテリー持続時間が左右一体型より短い場合が多い
- 価格が比較的高い
左右一体型(ネックバンド型)イヤホン
- 特徴: 左右のイヤホンがケーブルで繋がっているタイプ
- メリット:
- 落としても紛失しにくい
- バッテリー持続時間が長い
- 価格が比較的安い
- 操作性が良い
- デメリット:
- ケーブルが首や服と擦れてノイズが発生することがある
- 完全ワイヤレスに比べて若干動きにくさを感じる場合がある
2. 防水性能で選ぶ
ジムでは汗をかくため、防水性能は必須条件です。
- IPX4以上の防水性能を選ぶ
- IPX4: 汗や軽い雨に対応(あらゆる方向からの水しぶきに対応)
- IPX5: 噴流からの防水(強めの雨でも安心)
- IPX7: 一時的な水没にも耐える(水中1mで30分間の耐水性)
- IPX8: 継続的な水没にも耐える(水泳や長時間の水没に対応)
- ジム用途には最低でもIPX4以上を推奨
- 激しいトレーニングで大量の汗をかいても故障しない
- 汗で壊れた場合、メーカー保証が適用されないことが多い
3. 操作性で選ぶ
トレーニング中にスマートフォンを取り出さずに操作できることが重要です。
- 本体に備わっている操作機能をチェック
- 再生/停止
- 音量調整
- 曲のスキップ(次の曲、前の曲)
- ハンズフリー通話対応
- 操作方法の違い
- 物理ボタン: 確実に押せるがフィット感に影響する場合も
- タッチセンサー: スタイリッシュだが汗で誤作動する可能性あり
4. バッテリー持続時間で選ぶ
長時間のトレーニングでもバッテリー切れを起こさないことが大切です。
- イヤホン本体のバッテリー持続時間
- 完全ワイヤレス: 5〜10時間程度
- 左右一体型: 10〜15時間程度
- 骨伝導タイプ: 8〜10時間程度
- 充電ケース込みの総再生時間をチェック
- 完全ワイヤレスは充電ケース込みで20〜40時間の総再生時間が一般的
- 週2〜3回のジム通いで充電の手間を減らすなら長時間持続するモデルがおすすめ
- 急速充電機能の有無
- 10分の充電で1〜2時間の再生が可能なモデルも
5. 音質で選ぶ
ジムで使用するとはいえ、音質も重要な選択基準です。
- 音質の特徴
- 低音重視型: リズム感を重視したワークアウトに向いている
- バランス型: 様々なジャンルの音楽を幅広く楽しめる
- 高音質タイプ: 音楽にこだわりがある方向け(価格は高め)
- ノイズキャンセリング機能
- メリット: 周囲の騒音を遮断し、集中力を高める
- デメリット: 周囲の状況が把握しにくくなり、安全面で注意が必要
- 外音取り込み機能(アンビエントモード)
- メリット: 必要に応じて周囲の音を聞くことができる
- ジムでのコミュニケーションがしやすい
おすすめジム用イヤホン10選
1. Shokz OpenRun Pro 2(骨伝導イヤホン)
- 価格帯: 20,000円前後
- 特徴:
- 最新の骨伝導技術で音質が大幅に向上
- 耳を塞がないため周囲の音が聞こえ安全
- 軽量で長時間付けていても疲れにくい
- 防水性能:IP55(防塵・防水)
- 連続再生時間:約10時間
- おすすめポイント: 骨伝導イヤホンの中でも音質が良く、特に低音の再現性に優れています。フィット感も良好で、激しい動きでもずれにくい設計が特徴です。
2. SONY Float Run(ソニー)
- 価格帯: 15,000円前後
- 特徴:
- 耳を塞がないオープンイヤータイプ
- 独自の「フローティング構造」で安定した装着感
- ドライバーが肌に直接触れないため、汗によるかゆみを軽減
- 防水性能:IPX4
- 連続再生時間:約10時間
- おすすめポイント: 通常の骨伝導イヤホンとは異なり、音の解像度が高く、中高音域が美しく再現されます。振動による不快感がないため、長時間使用しても快適です。
3. Apple AirPods Pro (第2世代) USB-C
- 価格帯: 30,000円前後
- 特徴:
- 高音質と快適な装着感を両立
- 優れたノイズキャンセリング機能
- 外音取り込みモードで周囲の状況を確認可能
- 防水性能:IPX4
- 連続再生時間:約6時間(充電ケース込みで約30時間)
- おすすめポイント: iPhoneユーザーに最適な完全ワイヤレスイヤホン。フィット感が良く、激しい動きでも外れにくいです。音質の良さとノイズキャンセリング機能で没入感のあるワークアウトが可能です。
4. Bose Ultra Open Earbuds
- 価格帯: 30,000円前後
- 特徴:
- 耳を塞がないオープンイヤー設計
- 高音質と周囲の音の両立を実現
- スタイリッシュなデザイン
- 防水性能:IPX4
- 連続再生時間:約7.5時間
- おすすめポイント: 独自のオープンイヤー技術により、周囲の音を聴きながらも高音質な音楽を楽しめます。デザイン性も高く、普段使いにも適しています。
5. SUUNTO 骨伝導ヘッドホン SONIC
- 価格帯: 20,000円前後
- 特徴:
- スポーツブランドSUUNTOの骨伝導モデル
- 骨伝導イヤホンの中でも音質が良い
- こめかみへの当たり方が優しく圧迫感が少ない
- 防水性能:IP55
- 連続再生時間:約10時間
- おすすめポイント: 装着感の良さと音質のバランスが取れた骨伝導イヤホン。特にフィット感が良く、走ってもずれにくいため、ランニングマシンでのトレーニングにも最適です。
6. Anker Soundcore Liberty 4 NC
- 価格帯: 10,000円前後
- 特徴:
- コストパフォーマンスに優れた完全ワイヤレスイヤホン
- 強力なノイズキャンセリング機能
- 豊かな低音と明瞭な高音を実現
- 防水性能:IPX4
- 連続再生時間:約9時間(充電ケース込みで約50時間)
- おすすめポイント: リーズナブルな価格ながら高音質と高機能を両立。特にノイズキャンセリング性能が高く、ジムの騒音をしっかりカットできます。
7. Jabra Elite 8 Active
- 価格帯: 25,000円前後
- 特徴:
- 耐衝撃性と防水性に優れたスポーツ専用モデル
- ShakeGrip技術により激しい動きでも外れにくい
- クリアな音質と強力なノイズキャンセリング
- 防水性能:IP68(完全防水・防塵)
- 連続再生時間:約14時間
- おすすめポイント: スポーツ用途に特化した設計で、汗や衝撃に強いタフなイヤホン。高い防水防塵性能を持ち、どんなトレーニング環境でも安心して使用できます。
8. Technics EAH-AZ100
- 価格帯: 20,000円前後
- 特徴:
- 2025年発売の新モデルで高音質を実現
- フィット感に優れた人間工学的デザイン
- 優れたノイズキャンセリング機能
- 防水性能:IPX4
- 連続再生時間:約7時間(充電ケース込みで約38時間)
- おすすめポイント: Technicsならではの高音質と、ジム使用に適した機能性を両立。特に音質にこだわりたいジムユーザーにおすすめです。
9. Nothing Ear (open)
- 価格帯: 15,000円前後
- 特徴:
- 特徴的な透明デザインのオープンイヤータイプ
- 耳を塞がずに音楽を楽しめる
- クリアなサウンドと快適な装着感
- 防水性能:IP54
- 連続再生時間:約8時間
- おすすめポイント: スタイリッシュなデザインと機能性を両立。耳を塞がないため、ジムでの会話もスムーズに行えます。
10. オーディオテクニカ ATH-CC500BT2
- 価格帯: 10,000円前後
- 特徴:
- 老舗オーディオメーカーの軟骨伝導ヘッドホン
- イヤーフックで安定した装着感を実現
- クリアな音質と周囲の音の両立
- 防水性能:IPX4
- 連続再生時間:約8時間
- おすすめポイント: リーズナブルな価格ながら、安定した装着感と音質を実現。日本ブランドならではの細部へのこだわりが感じられます。
ジム用イヤホンの種類別比較表
種類 | メリット | デメリット | おすすめの使用シーン |
---|---|---|---|
骨伝導イヤホン | ・周囲の音が聞こえる ・長時間の装着でも疲れにくい ・耳内が蒸れない | ・低音が弱い ・音漏れしやすい ・騒音環境では聞こえにくい | ・安全性を重視したい方 ・長時間のトレーニング ・アウトドアでの使用 |
完全ワイヤレス | ・動きの自由度が高い ・コンパクトで持ち運びやすい ・高音質モデルが多い | ・紛失リスクがある ・バッテリー持続時間が短め ・価格が高い傾向 | ・高音質を求める方 ・短〜中時間のトレーニング ・日常使いも考えている方 |
ネックバンド型 | ・紛失しにくい ・バッテリー持続時間が長い ・価格が比較的安い | ・ケーブルが擦れてノイズが出る ・動きがやや制限される | ・コスパ重視の方 ・長時間のトレーニング ・激しい動きの多いトレーニング |
防水性能の規格について
IPX等級 | 防水レベル | ジム用途での適性 |
---|---|---|
IPX4 | あらゆる方向からの水しぶきに対応 | ○ 通常のジム使用に十分 |
IPX5 | あらゆる方向からの噴流水に対応 | ◎ 激しい運動や大量の汗に対応 |
IPX7 | 一時的な水没(水深1mで30分)に対応 | ◎ 非常に高い防水性、水辺でのトレーニングにも |
IPX8 | 継続的な水没にも対応 | ◎ 最高レベルの防水性、水泳にも使用可能 |
ジム用イヤホン使用時の注意点
1. 音量に注意
- ジムの騒がしい環境では無意識に音量を上げがちになります
- 大音量での長時間使用は難聴のリスクがあるため、適切な音量で使用しましょう
- 特に骨伝導イヤホンは騒音環境で音量を上げがちなので注意が必要です
2. 安全性を考慮
- 周囲の状況が把握できない完全なノイズキャンセリングは危険な場合も
- 特にフリーウェイトなど重量を扱うトレーニングでは周囲への注意が必要
- 外音取り込み機能があるモデルを活用しましょう
3. 衛生面のケア
- 汗をかいた後はイヤホンを清潔に保つことが大切
- 使用後は乾いた布で拭き取り、通気性の良い場所で保管
- イヤーピースは定期的に取り外して洗浄するとよいでしょう
イヤホンメーカー別の特徴
Shokz(旧AfterShokz)
- 骨伝導イヤホン専門ブランドとして知られる
- 軽量で装着感に優れた製品が多い
- スポーツ向けモデルに強みがある
SONY(ソニー)
- 音質の高さに定評がある
- 幅広い価格帯の製品をラインナップ
- 近年はスポーツ向けモデルも充実
Apple
- iPhoneとの連携がスムーズ
- 高いデザイン性と使いやすさ
- 価格は高めだが品質も高い
Bose
- 音質と装着感のバランスに優れる
- 高級感のあるデザイン
- スポーツ向けモデルも充実
Jabra
- 耐久性に優れたスポーツモデルが人気
- 防水・防塵性能の高さが特徴
- 多機能かつ堅牢な設計
Anker(Soundcore)
- コストパフォーマンスに優れる
- 機能性が高く使いやすい
- バッテリー持続時間の長さが特徴
よくある質問(FAQ)
Q1: ジム用イヤホンはどれくらいの価格帯のものを選べばよいですか?
A: 5,000円〜30,000円の幅広い価格帯の製品があります。予算に応じて選ぶことが可能ですが、最低限IPX4以上の防水性能を備えたモデルを選ぶことをおすすめします。10,000円前後でも十分な性能のモデルが多く出ています。
Q2: 骨伝導イヤホンは音質が悪いと聞きますが、実際はどうですか?
A: 従来の骨伝導イヤホンは低音の再現性が弱い傾向がありましたが、最新モデルでは技術の進歩により音質が大きく向上しています。特に「Shokz OpenRun Pro 2」などは骨伝導でありながら低音も楽しめるモデルです。とはいえ、音質を最優先するなら完全ワイヤレスイヤホンの方が優れています。
Q3: ジムではノイズキャンセリング機能は必要ですか?
A: トレーニング中の集中力を高めたい場合はノイズキャンセリング機能は役立ちます。ただし、周囲の状況が把握しにくくなるため安全面での注意が必要です。外音取り込み機能を併用するか、状況に応じてオン/オフを切り替えられるモデルが便利です。
Q4: スマートウォッチと接続して使用する場合、何に気をつければよいですか?
A: スマートウォッチとの接続を前提とする場合は、Bluetoothの接続安定性が高いモデルを選ぶことが重要です。また、スマートウォッチは再生できる音楽ファイルやストリーミングサービスに制限がある場合があるため、事前に確認しておきましょう。
Q5: メガネをかけていますが、骨伝導イヤホンは使えますか?
A: 骨伝導イヤホンとメガネを併用する場合、装着位置が重なって不快感を感じる場合があります。購入前に試着できる店舗で確認するか、メガネとの併用を考慮した設計のモデル(Shokzなど)を選ぶとよいでしょう。
まとめ
ジム用イヤホンを選ぶ際には、形状、防水性能、操作性、バッテリー持続時間、音質などを総合的に考慮することが大切です。特に激しい動きや汗に耐える防水性能と、長時間快適に使用できる装着感は最重要ポイントです。
骨伝導イヤホンなら「Shokz OpenRun Pro 2」や「SONY Float Run」、完全ワイヤレスなら「Jabra Elite 8 Active」や「Anker Soundcore Liberty 4 NC」などが2025年現在のおすすめモデルです。自分のトレーニングスタイルや予算に合わせて最適なイヤホンを選び、音楽の力でワークアウトのモチベーションを高めましょう。
