リサイクル素材を使用したキーボードは、環境負荷を軽減しながら高い品質を維持する革新的な製品です。ロジクール最大の製品ポートフォリオ内のマウスとキーボードの65%以上が現在、再生プラスチックで作られており、これにより約19,000トンのCO2が排除されています。本記事では、サステナブルなキーボード選びの基準から具体的なおすすめモデル、正しい処分方法まで詳しく解説します。
はじめに：なぜ今リサイクル素材キーボードが注目されているのか？
デジタル機器の環境負荷という現実
現代社会において、パソコン周辺機器は生活に欠かせない存在となっていますが、一方で製造・廃棄時の環境負荷が深刻な課題となっています。従来のキーボードは主に新品のプラスチック素材で製造されており、製造過程でのCO2排出や廃棄時の環境汚染が問題視されています。
サステナブル製品への転換が加速
2025年までに全製品にカーボンインパクトラベルを貼付する企業が増えるなど、製品の環境負荷を明示し、消費者の環境意識に応える取り組みが業界全体で進んでいます。キーボード業界でも、この流れを受けてリサイクル素材の活用が急速に拡大しています。
環境効果の具体的な数値
ロジクールでは約8,000トンの未使用プラスチックを除去し、これにより製品ライフサイクルを通して約19,000トンのCO2が排除されるなど、具体的な環境改善効果が数値として示されており、消費者にとって選択の判断材料が明確になっています。
リサイクル素材キーボードとは？基本知識を理解しよう
リサイクル素材の種類と特徴
PCR（Post-Consumer Recycled）プラスチック
使用済みの再生（PCR）プラスチックを使って、耐用期間が過ぎたプラスチックを再生し、カーボンフットプリントを削減する手法です。主にペットボトルや電子機器の廃棄物から回収されたプラスチックを原料として使用します。
バイオプラスチック
バイオマスプラスチックは、再生可能な有機資源由来の物質を原料に含み、化学的または生物学的に合成して得られるプラスチックで、従来の石油由来プラスチックの代替素材として注目されています。
品質への影響について
再生プラスチック製品を購入した場合、ロジクール製品から今まで得られたものと同じ優れた製品体験を期待でき、当社の再生プラスチック樹脂および製品は、当社の他の製品と同じ堅牢なパフォーマンスと品質テストプロセスを通り、当社の必須基準をすべて満たします。
色やデザインの制約とその解決策
従来は多くの再生プラスチック樹脂は黒またはグレーに限られていましたが、2017年以来、プラスチックサプライヤーと協力して、様々な新しい色の、新しく、より強い樹脂を考案し、30種類以上のエキサイティングな新色が登場しました。
主要メーカーのリサイクル素材キーボード一覧
ロジクール（Logitech）
MX Keys シリーズ
- 再生プラスチック含有率: 最大80%
- 価格帯: 15,000円～20,000円
- 特徴: プロ向け高機能キーボード、バックライト搭載
Wave Keys
Wave Keysのプラスチック部品には、認定を受けた再生プラスチックを61％使用しています。エルゴノミクスデザインで長時間作業も快適です。
Signature Slim Solar+ K980
最新のソーラー充電技術を搭載し、環境負荷をさらに軽減した革新的なモデルです。
その他メーカーの取り組み状況
現在、ロジクール以外の主要キーボードメーカー（エレコム、サンワサプライ、FILCO、バッファロー、東プレ、Razer等）も環境配慮製品の開発を進めていますが、具体的なリサイクル素材使用比率を公表している製品は限定的です。
リサイクル素材キーボードの選び方｜6つのチェックポイント
1. リサイクル素材の含有率を確認
製品仕様で「PCR（Post-Consumer Recycled）」の含有率を確認しましょう。製品のPCRで作られたプラスチック部品の割合は現在、80%のPCR含有率から、技術的に複雑な明るい色の製品の20%以上の範囲となっています。
2. 第三者認証の有無
信頼性の高い環境配慮製品かどうかは、第三者機関による認証を受けているかで判断できます。
3. カーボンフットプリント表示
カーボンインパクトラベルを通して、すべての購入決定の影響をより明確にする製品を選ぶことで、環境負荷を数値で把握できます。
4. 使用する機能との適合性
リサイクル素材使用による性能面での影響がないか、必要な機能（バックライト、ワイヤレス接続、キーレスポンス等）が適切に動作するかを確認します。
5. 耐久性と保証期間
環境配慮製品は長期使用が前提となるため、保証期間や耐久性テストの結果を確認することが重要です。
6. 価格とコストパフォーマンス
バイオプラスチックは環境に優しい反面、コストに関しては通常のプラスチックより高い傾向にあるため、機能と価格のバランスを検討しましょう。
価格帯別おすすめリサイクル素材キーボード5選
エントリーモデル（5,000円以下）
現在のところ、この価格帯でリサイクル素材を大幅に使用したキーボードは限定的ですが、今後の普及により選択肢が増えることが期待されます。
ミッドレンジモデル（5,000円～15,000円）
ロジクール K380
- 価格: 約4,000円
- 特徴: コンパクト設計、マルチデバイス対応
- リサイクル素材: 部分使用
ハイエンドモデル（15,000円以上）
ロジクール MX Keys S
- 価格: 約18,000円
- 特徴: プレミアム打鍵感、スマート照明
- リサイクル素材: 高含有率
ロジクール Wave Keys
- 価格: 約12,000円
- 特徴: エルゴノミクス設計、快適なタイピング
- リサイクル素材: 61％の認定再生プラスチック使用
リサイクル素材キーボードの性能・品質について
耐久性テストの結果
当社の再生プラスチック樹脂および製品は、当社の他の製品と同じ堅牢なパフォーマンスと品質テストプロセスを通り、当社の必須基準をすべて満たします。一般的な使用条件下では、従来製品と同等の耐久性を確保しています。
タイピング感触の違い
リサイクル素材の使用によるタイピング感触への影響は基本的にありません。キースイッチ部分は従来通りの材質を使用し、主に筐体部分にリサイクル素材を採用しているためです。
長期使用時の変化
適切な品質管理された製品であれば、色褪せや劣化について従来製品との大きな差は見られません。
環境負荷軽減効果を数値で見る
CO2削減効果
ロジクール最大の製品ポートフォリオ内のマウスとキーボードの65%以上が現在、再生プラスチックで作られており、これにより製品ライフサイクルを通して約19,000トンのCO2が排除されるという実績があります。
資源節約効果
約8,000トンの未使用プラスチックを除去することで、新規プラスチック製造に必要な石油資源の節約に貢献しています。
廃棄物削減効果
従来は廃棄処分されていた使用済み製品が新しい製品の原料として再利用されることで、最終処分場への負荷軽減に貢献しています。
使用後の正しい処分・リサイクル方法
キーボード処分の基本ルール
キーボードは小型家電リサイクル法の対象品目で、小型家電に含まれる鉄、アルミ、銅、貴金属、レアメタルなどの有用な金属を回収・リサイクルし、大切な資源を再利用するための法律に基づいて処理されます。
自治体での処分方法
サイズによる分別
1辺の長さが30cmを超えるキーボードの扱いは基本的に粗大ごみとして処理され、30cm未満の場合は不燃ごみとして扱われることが多いです。
小型家電回収ボックスの活用
家電量販店やスーパーマーケットなどに設置されている小型家電回収ボックスに入れるだけで、自治体が再利用する目的で引き取ってくれます。
メーカー回収プログラム
ロジクールはBest Buyと提携して、使用済みマウス、キーボード、ヘッドセット、またはウェブカメラを最寄りのBest Buy店舗に持ち込むと、20%オフのクーポン券を受け取ることができ、同カテゴリーの新しいロジクールデバイスの購入に使用できるプログラムなどを実施しています。
処分時の注意点
- データの確認: キーボードの中には個人情報はありませんので、そのまま処分できます
- 分解の禁止: プラスチックや金属などの細かいパーツが多く含まれており、ケガをする可能性もあるので、無理に分解・解体しないようにしましょう
- 法令遵守: 正しい方法で処分しないと、環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、できるだけリサイクルや適切な処理を行うことが大切
今後の展望｜キーボード業界のサステナビリティ動向
業界全体での取り組み拡大
現在ロジクールが先行している状況ですが、すでにロジクールSight、Rally Bar ファミリー、ウェブカメラ、マウス、ヘッドセット、キーボードの一部製品にリサイクル素材を使用し、今後他製品にも拡大しており、業界全体でのサステナビリティ取り組みが拡大することが予想されます。
新素材・新技術の開発
バイオプラスチックを安定的に利用する場合、事業者、消費者の双方にとってコスト面で大きな負担になるため、如何にコストの負担を軽減するかが課題ですが、技術の進歩により今後コストダウンが期待されます。
消費者意識の変化
環境配慮製品への関心が高まる中、消費者がより多くの情報を得た上で購買決定を下せるようにし、業界全体がカーボン・クラリティ（炭素の透明性）にシフトするきっかけを作ることで、市場全体でのサステナブル製品の普及が加速すると予想されます。
よくある質問（FAQ）
Q1: リサイクル素材のキーボードは壊れやすいのですか？
A1: 再生プラスチック製品から今まで得られたものと同じ優れた製品体験を期待でき、同じ堅牢なパフォーマンスと品質テストプロセスを通り、必須基準をすべて満たします。品質面での劣化はありません。
Q2: 価格が高いのはなぜですか？
A2: バイオプラスチックは環境に優しい反面、コストに関しては通常のプラスチックより高いためです。しかし、技術の進歩により今後コストダウンが期待されています。
Q3: どのくらい環境に良い影響がありますか？
A3: ロジクールでは約8,000トンの未使用プラスチックを除去し、これにより製品ライフサイクルを通して約19,000トンのCO2が排除されるなど、具体的な数値で環境効果が示されています。
Q4: 古いキーボードはどう処分すれば良いですか？
A4: キーボードは小型家電リサイクル法の対象品目で、小型家電回収ボックスに投入すれば処分完了です。自治体のルールに従って適切に処分しましょう。
Q5: 色のバリエーションは限られますか？
A5: 2017年以来、プラスチックサプライヤーと協力して30種類以上のエキサイティングな新色が登場しており、選択肢は拡大しています。
まとめ：持続可能なデジタルライフの第一歩
リサイクル素材を使用したキーボードは、環境負荷の軽減と高い製品品質を両立させた次世代の周辺機器です。ロジクール最大の製品ポートフォリオ内のマウスとキーボードの65%以上が現在、再生プラスチックで作られている状況からも分かるように、この分野の技術は急速に進歩しています。
購入時は、リサイクル素材の含有率、第三者認証の有無、カーボンフットプリント表示などを確認し、自分の用途に適した製品を選択することが重要です。また、使用後は適切にリサイクルすることで、循環型社会の実現に貢献できます。
今後も技術の進歩により、より多くの選択肢と手頃な価格で環境配慮製品が利用できるようになることが期待されます。デジタルデバイスの選択を通じて、持続可能な社会の実現に参加してみませんか。
